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イッシーです!皆さんお久しぶりです。
今日から、らんちゅうの感染症についての現段階での一考察をお話いたします。
らんちゅう(金魚を含む)の感染症についてもっと早くいろいろな事をお伝えしたかったのです
が、イッシーはこう見えて意外と完全主義者なので感染症に関するいろいろな情報が飛び交う 中で何が一体真実なのか?をずっと追求し続けていました。獣医師という職業柄もあり中途半 端な原稿を書きたくない!という思いが強すぎてなかなか病気に関する原稿を書く事が出来ま せんでした。でも悩んだすえに辿り着いた結論は以下の通りです。
「多分、どんなにえらい魚病学の先生でも感染症の全てを解明出来ている筈がない。」
そうなんです。まだ結構解明されていない事が多すぎるのです。(ひょっとしてイッシーの勉強
不足の言い訳?)ここらで開き直って中途半端でも良いから今、イッシーが知っている事や憶 測を皆さんにお伝えしようと思っています。
もちろん間違いに気づいた時は後ほど訂正させて頂く事をお約束致します。
まずは感染症の代表選手の三つを紹介します。ウイルス病である金魚ヘルペス。そして細菌
の中でも鰓や鰭を侵すカラムナリス菌(カラムナリス菌についてはかなり詳しく説明できます。) そして多分もっとも厄介なエロモナス菌。この三つの感染症を各論で述べるのは比較的簡単な のですが、いざ病魚を前にしてどの病気にかかっているのかを鑑別する事は、非常に難しい のです。複数の病原体が混合感染している可能性も強いのです。
「じゃあどうして病気を見分けるんだ!」とお叱りを受けそうですがイッシーも頑張って説明しま
す。そして皆さんからも情報を頂きたいと思っています。
次回は金魚ヘルペスについて現在私の知っている事を全部書きます。
「イッシーはこう見えて意外と・・・・」って、皆さんイッシー見たことないから知らないもんね!
イッシー!・・・だんだん話の持って行き方が、小説っぽくなってきてるよ!
いよいよこれから、三大感染症をシリーズで解明ですね!皆さん!病気の治療にもとても参考
になると思いますよ! HONO ![]()
金魚ヘルペスについて
イッシーです。お約束通り今回は、金魚ヘルペスについて書かせて頂きます。
一昨年11月に我が国で鯉ヘルペスウイルス(KHV)の感染が始めて報告されましたが、
KHVは現在のところ鯉にしか感染しません。金魚ヘルペスもKHVも造血組織で増殖し
て魚を貧血死させるところは同じですが、KHVが鯉の造血組織のみならずその体表でも増殖
するケースが比較的多いのに対して、金魚ヘルペスウイルスは金魚の体表で増殖する事は決 してありません。金魚ヘルペス病単独の症状は貧血のみです。もしも外見的に金魚の体表に 病変が現れている時には他の病原体の混合感染があります。
くれぐれもその事を理解しておいて下さい。
以下は、私の知っている知識を箇条書きにします。
1.実験感染例
水温24度で金魚にヘルペスウイルスを実験感染させた場合には、金魚は4〜6日で死に始め
感染している魚はその後一週間以内に全て死亡します。
2.水温
金魚は変温動物であり水温によって体温が変化します。
その体内で増殖するヘルペスウイルスの活動も金魚の体温によって左右されます。
多分?水温が15℃以下ではその活動を停止します。ただしウイルスが死ぬ訳では無く水温が
上昇すればその活動を再開します。
また高水温(多分33~34度)でも活動を停止します。
3.治療
金魚ヘルペス感染魚に対する治療は現在のところ昇温治療のみが有効です。
2〜3時間かけて水温を一気に33度に上げます。ただし水温を上げ始めて一日目は多分手遅
れになった魚や急激な温度変化についていけなかった魚は死亡します。
そして二日目からは全くといって良いほど死亡する魚は出ません。
水温が目標温度に上がりきってから丸三日で加温を終了します。
ただし、この治療を開始する季節は4〜10月までと推奨されています。
その理由は二つあります。一つは水温が低くなった11月〜3月はヘルペスウイルスの活動が
弱まり魚が死ににくくなる事と、20度以下の水温から急激に33度まで上昇すると魚がもたない からです。
では数日かけてゆっくりと水温を上げていくとどうなるか?
水温が27〜28度付近に上がった辺りで魚はバタバタと死んでゆくそうです。
4.免疫
ヘルペスウイルスが活動を停止する低水温下では魚も免疫を獲得しませんが、高水温下では
魚はヘルペスウイルスに対する免疫を獲得するようです。
ただしヘルペスに感染してから昇温治療を開始するのが早すぎても魚が充分な免疫を獲得出
来ない事があります。その場合2〜3週間で再発するそうです。
5.キャリアー
治療に成功した魚はヘルペスウイルスに対する免疫を獲得していますが、どうやらウイルスを
排泄しているようです。病気には勝ったが病気を広める個体をキャリアーと呼びます。
キャリアーである時期がどれ位続くのかは分かりません。
6.キャリアー魚を産卵に使用した場合の注意点
キャリアーである魚の卵や精子の中にはヘルペスウイルスは存在しません。
ただ、せっかく受精した受精卵にキャリアーである親から排泄されたウイルスが感染するケー
スがあると考えられています。
その場合、孵化は正常で稚魚もすぐには死にませんが孵化後3〜4週間で稚魚がバタバタと死
ぬそうです。
受精卵を受精した翌日にイソジンで消毒すれば受精卵に感染したウイルスを殺す事が出来る
ようです。
ヘルペスウイルスは有効沃素濃度12ppm30秒で不活化できますが、受精卵の消毒に50ppm
の濃度で15分間薬浴すればよい結果が得られているようです。
外用イソジンの有効沃素濃度は1%ですから外用イソジンを200倍に希釈して使用すれば有効
沃素濃度は50ppmになります。改めて言うまでもありませんが、消毒した受 精卵は他の池に 移さないと消毒した意味がありません。
7.池の消毒
ヘルペス感染魚がいたかもしれない池の消毒はハイターやイソジンやビルコンで行なって下さ
い。
以上がイッシーが今現在知っている金魚ヘルペスに関する情報でした。
イッシーに知識を授けて下さった皆様方には深謝しています。
次回は難解なエロモナス菌について簡単に(難しすぎるので)説明させて頂きます。
イッシーはらんちゅうの病気に対し、長期に渡り研究や実験を行っています。本当に分かり易く
勉強になります。研究はまだまだスタートしたばかりですが・・・・
イッシーは獣医さんという立場上、わざと病魚を感染させて行った実験が一番辛かったそうで
す。確かにいつもは治す(助ける)ことがお仕事ですからね。
ちなみにHONOのおじんギャクはキャリアー(ホノペス)です。これは治りませんね!(^_^;)
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皆さんこんばんは!らんギャラフォーラムがなかなか更新できなくてすみません。
今日は、イッシーの産卵状況のご報告をさせていただきます。
まず、イッシーの本命魚は4月16日に無事孵化しました。かなり数が多いです。
HPの30万回のアクセス記念には、イッシーも友情出演で今年の仔をプレゼントします。
えっ!本当イッシー!ありがと〜!応募しようかな??(楽しみ おさしみ!)口が回らなくなった!
また、本日も(4腹目)が産卵しました。
雄に関しては本命魚の産卵の時も同じ雄を使いました。
稚魚の状態はまだ撮っていないのですが、自家産明け二歳より一日遅く産卵・孵化した本命
魚の稚魚の方が今は倍ほど太いです。
やはり三歳から産まれた稚魚の方が最初は成長が早いようです。
追伸:HONO丸からでる泡は稚魚には本当に優しいです。水流も起きません。
本当に優れもので重宝しています。
わーい!イッシーにHONO丸が認められると非常にうれしいです。
イッシーの産卵藻です。
んで直ぐに親魚を取り出せなくても安心です。
イッシー!また稚魚の画像送ってね!
<らんギャラフォーラムをお読みいただく上での注意事項>
青文字はイッシー!黒字はHONOです。
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イッシーです。
えー!うそ!二ヶ月近く更新していなかったのね。
お約束のエロモナスやカラムナリス等の感染症の話は何処へいったのでしょう?
イッシーも単なるらんちゅうバカなので毎朝5時起きで選別と水換えの毎日でした。
それから仕事をして夜はバタンキューでした。
やっと一息つけそうなのでエロモナスとカラムナリスの話をします。
その前に毎年冬眠明けに気付く病気の説明を簡単にします。
真冬にはらんちゅうはあまり病気をしませんが、春先になって水温の上昇とともに病原菌も活
発になってきます。
特に日当たりの良い飼育場では水温の乱高下と飼育水のいたみが重なってエロモナス病や
水カビ病にかかります。
水カビ病は受精していない卵に生える菌と同じ(Saprolegnia属)と考えて下さい。
ただし水カビ病が卵ではなくてらんちゅうに発生する前にはうなぎで報告されている様に多分
先にエロモナス(Aeromonasu hydrophira)の感染が生じていると考えられます。
エロモナスは春先と秋のらんちゅうの大敵となります。
あっ!イッシー・・・・・・HONOのノリで言い訳している・・・・でも、これからの更新楽しみですね。
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イッシーです。
昨日のHONOさんからのメール。
「ネタが尽きた。後は頼む。さよ〜なら〜」だって!
こっちにだって時間的都合が・・・それにエロモナスは難解だし・・・
ちょろっと書いて早くカラムナリスに行こうっと!
さてさて6月6日の続きですが、水カビ病の治療薬はマラカイトグリーンです。
永久薬浴の場合の使用濃度は0.1ppm(水1リットルにたいして0.1mg)です。
カビの上に苔まで生えているような魚の場合は出来るだけ苔とカビを取ってから治療て下さ
い。
さてエロモナス病(Aeromonas hydorophila)についてですが、この細菌はあらゆる河川
や池に常在しています。魚がストレス下にある時や水質の悪化でこの細菌に侵されます。
感染は主に腸管だとされています。エロモナス菌は酸素の存在下でも酸素が少ない場所でも
増殖が可能です。(逆にカラムナリス菌は酸素が必要な好気性菌です)従って魚の体内にまで 侵入して様々な全身症状を引き起こします。さらにこの菌は毒素を産生して毒血症を引き起こ します。ある先生の話によると死亡した淡水魚の病理解剖をして腎臓から細菌を培養させると エロモナス属が一番多く認められるとおしゃっていました。
同じAeromonas hydorophilaでも多くの菌株があり病原性も異なるようです。症状の出方によっ
て立鱗病やポップアイや腹水症などと呼ばれています。
さて治療ですが、この細菌が魚の体内で増殖する事から治療薬はやはり抗生物質になりま
す。魚が食欲があれば乾燥ペレットに薬を染み込ませて与える事も可能ですが、食欲が無け れば注射が一番有効な方法になります。次回のカラムナリス菌のところで塩浴について詳しく 述べますが、弱った魚の治療に塩浴は必須です。エロモナス菌は塩分には抵抗性があり塩が 薬になる事はありませんが、0.5〜0.6%の塩浴は必須です。(稚魚はもっと低い濃度)注射 薬も内服薬も使わない場合はエルバージュを使って池に覆いをして光を遮って下さい。
エロモナス菌のワクチンに関する論文が発表されています。(ニシキゴイにおける
Aeromonas hydorophila 経口リポソームワクチンの免疫効果:洲本信哉・武本沙世・宮崎照雄)
その効果は約70%だそうです。
次回はカラムナリス菌についてですがヘルペスウイルス同様に品評会等で持ち帰る病気で
す。
カラムナリス菌対策に関しては少し詳しく説明出来そうです。
イッシー!この調子で頼みますね!これからが楽しみ 楽しみ・・・・それでは、さよ〜なら〜!
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イッシーです。
今回から数回に渡ってカラムナリス菌(Flavobacterium columnare)のお話をします。
まずはカラムナリス菌の性状を箇条書にします
1. グラム陰性の細長い桿菌
2. 活発に運動する滑走細菌であり感染力が高い
3. 好気性であるため体内には侵入しないが寄生部位ですぐに円錐(カラム状)のコロニ
ーを形成し酵素を出して鰓や鰭や口を溶かせてゆく。
4. 比較的きれいな水を好む
5. 最適発育温度は27〜28度であるが5〜35度でも生息可能。
6. 他の細菌との競合に弱い
7. 比較的塩に弱い
昨年、私も研究会や品評会に参加しましたがやはり鰓病を貰って帰りました。
その治療に塩浴や抗生物質を数種類試しましたが、一時期治ったかのようにみえても他の魚
と一緒にすると他の魚に鰓病を移し治った筈の魚も再発を繰り返しました。
いわゆる保菌魚となり感染源となってしまいます。
またカラムナリス菌が感染を起こした魚には次に他の細菌による二次感染を受けます。
水温が下がっていく秋にはエロモナス菌の二次感染も受けて症状が複雑になります。
昔から水温の下がる時期に鰓病にかかると治りにくいと言われていますが、その時期の鰓病
魚は前回お話したエロモナス菌による二次感染を受けると考えています。
では塩に弱いとされているカラムナリス菌がどの位塩に弱いのでしょうか?
いろいろな専門家の方々にご協力を頂いて試験を実施しました。
その結果が下のグラフです。
試験方法は0〜3%の滅菌食塩水を作りその中にカラムナリス菌を入れて1時間、3時間、6
時間、12時間、1日、2日、3日後にそれぞれサンプルを取りカラムナリス菌が最もよく増殖す る培地上で25度で3日間培養した時の菌数を自然対数で表したものです。
目盛が一つ増えれば菌数は十倍に増え また目盛が一つ減れば菌数は十分の一になってい
ます。
この試験の結果から塩だけでカラムナリス菌を殺すのには2%以上の濃度で6〜12時間かか
り1.5%濃度でも一日以上かかります。1.5%以上の濃度の塩水でらんちゅうを薬浴させた 場合は余程大きな個体か長期間に渡って高濃度の塩浴に慣らした魚以外は死んでしまいま す。またグラフを見てお気づきのように私達が病魚の治療に用いる濃度である0.5%の塩浴 ではカラムナリス菌は死にません。
だったら塩だけを使ってカラムナリス菌の感染を防ぐ事はできないのでしょうか?
ここから本当の意味でイッシーとカラムナリス菌との戦いが始まりました。 つづく・・・
これから、いよいよ目が離せませんね!鰓病で悩んでいる全国の皆さん!続きをお楽しみ
に・・・・!今はまだ、ちょっと分かりづらいと思いますが・・・ ![]()
今晩は イッシーです
今度の日曜日が大阪錦蘭会の第一回目の研究会になります。
イッシーも参戦する予定です。
超丸手でまだ小さいのですが柄の良いイッシー産らしい上品な(自分で言うかな?)
魚を持っていきます。いい成績が取れたらHPで紹介して下さいね。
どうか良い成績が取れますように・・・
もろちん!がんばって来てね!
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今晩は イッシーです
第一回錦蘭会研究会の結果ですが、単なるラッキーでした。
大の部と小の部に分かれており良い魚はほとんどが大の部にいました。
私は本命一匹とお供二匹を連れての参戦となりましたが、魚が小さく小の部であった為、幸運
にも全て入賞できました。
結果は小の部の西取締、勧進元二、西前頭三枚目でした。
とっても良い成績でしたね!おめでとう!HONOもがんばろ!しかし、お互い柄好きですよね!
らんギャラ フォーラム NO.3へ
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