らんギャラ フォーラム NO.7

2007年1月1日
皆さん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
HONOは年末からちょっくら風邪をひいてしまいました。気をつけなくちゃ!

さて、らんギャラフォーラムも大きな課題「金魚ヘルペス」の研究にいよいよ切り込んでいくこと
になりました。金魚ヘルペス攻略は大変難しい課題です。イッシーから届いた研究経過のレポ
ートをここで公開していきます。お楽しみに〜!

抗ヘルペス剤の研究経過報告 Part1


抗ヘルペス剤を用いての品評会後の養生(2006年12月3日)

ヘルペスの治療に関しては昇温治療がほぼ確立している事はらんギャラフォーラムのヘルペス
編ですでにご紹介しています。昇温治療はそれを実施する季節(水温)や加温速度等に一寸し
たコツが必要になります。そのコツを掴んでいる方々はかなりの確立で無事に養生を済ませる
事ができていると思います。
私がヘルペスの勉強を始めた4年前に抗ヘルペス薬を使っての試験を考えた時期もありました
が、当時薬はべらぼうに高く、また多分世界中の水産関係者がすでに試験を実施して無効だっ
たのだろうと決め付けていました。
今年の夏にイッシー装置を使っているTさんから抗ヘルペス剤を使ってみたい!というご依頼が
あり私も以前から興味があったので再度文献検索を行ないました。
やはり抗ヘルペス剤を使っての鯉ヘルペスや金魚ヘルペスの治療に関する文献はありません
でした。それなら・・・今年の品評会後の養生は抗ヘルペス剤で行う事。例え無効だと感じても決
して昇温治療は併用せずに死亡魚のヘルペスの確定診断を下す。という決意で秋の品評会ま
でに以下の点を課題に上げて検討しました。

 1.抗ヘルペス薬の薬理作用を熟知する。
 2.らんちゅうへの投与方法の検討
 3.一日あたりの投与量の検討(分服回数も含めて)
 4.投与期間の検討
 5.最適な水温範囲の検討(薬理作用の上でも最も重要かもしれない)

まず薬の嗜好性の試験をして薬と薬の投与法を決定しました。
次に6匹のらんちゅうをに対して薬の毒性試験を実施して一日あたりの薬の量を決定しました。
通常、品評会後の養生の基本は塩浴と薬浴と絶食が基本になります。
ただ抗ヘルペス剤を投与する事すなわち絶食をいうタブーを犯す事になる為になかなか最初か
ら他の人には勧められません。その為にまず自分で試しました。
そして九月の中旬。地元の品評会でした。当歳二匹を出品させました。この会は二年前に出品
させましたが、ヘルペスには感染しなかった会です。
出品会より持ち帰った魚をイッシー装置をセットした舟に放った後、0.9%に相当する塩とエル
バージュの最高薬用量を入れて自然に溶解させました。
いきなり0.9%の塩水に魚を放つのではなくゆっくりと塩分濃度を上げて魚に慣れさせる事が
必要です。
翌日の昼からほんの少量の餌に抗ヘルペス剤をコーティングさせて投与しました。
翌日からは一日の投薬量を朝、昼、夕方の三回に分けて与えました。
多少鰓気味になることはありましたが、無事に養生を済ませる事ができました。
この地元での大会は当歳で生き残った魚はいますが、大半の二歳と親はヘルペスで1週間位
で死亡したそうです。
そんな情報が入りひょっとして薬は有効かな?とそんな期待を持たせてくれた大会でした。
その後、Tさんをはじめイッシー装置を使用している中の数名の方々にモニターとして御協力し
て頂きました。
魚の出品箇所は数ヶ所の地方会・錦蘭会・観魚会・日らん東部大会・日らんでした。
マニュアルでは品評会翌日から薬の投与をする予定でしたが、さすがに翌日から餌を食べる魚
は少なかったです。結果的にはほとんどが二日目か三日目からの投与になりましたが抗ヘルペ
ス剤を食べる事ができた魚は全てヘルペスを発症しませんでした。
ただ養生期間が終わって大分たってから水変えの後とかに泳ぎが止まったり餌食いが悪くなっ
たりした魚はいました。ご協力して下さった方々はそれぞれの経験で体調不良になった魚達の
養生をされたようです。ヘルペス剤を投与した魚が後になって発症したのか?
それは今の所不明です。それは結果的に死亡魚が出なかったためにヘルペスの確定が出来
なかったからです。
ただ品評会後に他の病気(多分エロモナス)をすぐに発症して抗ヘルペス剤を食べる事が出来
なくて出品後数日で亡くなった方の魚を剖検させて頂いてPCRによるヘルペス診断を実施した
ところ肝膵臓からヘルペスウイルスが検出されました。
エロモナス対策用の薬も来年は検討しなければなりません。
来年以降も抗ヘルペス剤の試験を続けて行きますが、昇温治療以外の有効な一手段になる
可能性は少しはあると感じています。
今年、試験にご協力頂いた方々に厚く御礼申し上げます。

HONOも昨年秋の品評会より抗ヘルペス剤の検証実験に参加しています。
3つの品評会で出陣後の養生「抗ヘルペス剤」を実施しましたが、合計8匹すべて元気にして
います。まだまだ何度も検証が必要ですが、とっても期待しています。



2007年2月4日

下記のやりとりはイッシー装置をご購入いただきましたIさんとイッシーの病気治療相談です。
皆様にもご参考になればと、許可をいただき掲載させていただきました。
HONOは最初にIさんからイッシー装置をご注文いただいた時に、Iさん魚の病状が気になりイッ
シーにメールで相談いたしました。
そして・・・Iさんにメール「もし、よろしければイッシーから直接メールいたします。」
・・・単純にイッシーにお願いしただけかな?(^_^;)

(次にイッシーからさんへのメール)1月17日
様 はじめまして イッシーです。
今回は装置のご購入ありがとう御座いました。
錦蘭会ではご一緒していたのですね。今後はお声をかけて下さい。
私も錦蘭会では当歳を二匹出品しましたが養生では結構苦労しました。
現在は健康で冬眠しています。
装置の特徴はあくまでも鰓病の治療と品評会後のすみやかなる養生。
そして質の良い青水を作る事が特徴です。
病状によっては装置が必要でないケースもあります。
I様の魚の病状をHONOさんからのメールでお聞きしました。
体中に白点や白雲が見られるとの事で以前にも同じ様な症状で全て魚を落としているとの事。
今回は取り合えず全て更水にしてください。水温はすでに15度に上げてあるとの事なので15
度から20度位でよいと思います。
今飼育している水事更水に浮かべてゆっくりと更水で薄めて(30分位かけて)
下さい。鰓病に症状が無い限り治療には装置は必要が無いと考えます。装置は今年以降も必
ず活躍すると思いますので今回は使わないで下さい。
マラカイトグリーンで染まってしまいます。
塩は0.5%位入れて下さい。
そこにエルバージュとマラカイトグリーンの溶かした物を加えて遮光して養生させて下さい。
マラカイトグリーンは早急にお送りします。
今後もずっとサポートさせて頂きますので、何なりとご相談下さい。
また今回の病魚の今後の経過もご報告下さい。
万が一死亡魚が出れば取り合えず冷蔵(ヘルペス以外は冷凍は不可)させてご連絡下さい。

Iさんからのお返事)1月22日
連絡遅くなり申し訳ありません。
金曜日にメールを送ったつもりだったんですが、今気付いたら下書きフォルダに残ったままで
した。金曜日にマラカイトグリーン到着しています。本当に連絡遅くなり申し訳ありません。
> 錦蘭会ではご一緒していたのですね。
> 今後はお声をかけて下さい。
秋の本大会だけの参加ですが金蘭会は毎年参加しています。
その時はよろしくお願いします。
> 万が一死亡魚が出れば取り合えず冷蔵(ヘルペス以外は冷凍は不可)させてご連絡下さ
い。
その時は是非よろしくお願いします。
死んでしまう原因がわからずどうしていいのか分からず困ってます。
大量に死んでしまった時にはぜひ見てもらいたいです。
よろしくお願いします。
さて、魚の現況を報告します。
金曜日の朝の時点では特に重症の魚が4匹ほど底に沈んだまま動かなくなっていました。
その他の魚も浮いたままほとんど動かず片エラでエラの動きもごく遅く泳いでいたのは11匹中
2,3匹といったところでした。
白雲は少し目立たなくなってましたが白点は付いたままで改善が見られないどころかますます
ひどくなっているようでした。
昨年と同じような状況で全滅を覚悟していました。
その時の飼育水は水温18度、ニューグリーンエフ+エルバージュ+塩0.5パーセントです。
そして、夜帰ってニューグリーンエフをマラカイトグリーンに変えるためにほぼ全水換えしまし
た。
その時にエラから白い綿状の物が出ている魚を2匹発見しました。
で、これはもしかしたらイッシー装置を使ったほうがいいのでは?
どちらにしてもこのままでは全滅しそうで、まだそうひどくない数匹でも生き残ればと思いイッシ
ー装置を使用することにし水温も18度から20度へ上げることにしました。
飼育水は水温20度、マラカイトグリーン+エルバージュ+塩0.8パーセントです。
水温を冬眠中の6〜8度から5日間で20度まで上げるのは怖かったですが0.8%塩の影響
も怖いのでそうすることにしました。
翌朝見てみると昨夜浮いていた魚は少し弱々しいですが泳いでいました。
底に沈んで動かなかった魚は動きはしませんが水面に浮かんでいました。
エラに見られた白い綿状のものはなくなり、体中に見られた白点以外の物は1匹以外ほとんど
見られなくなり白点も少なくなっているようでした。
夕方になると重症だった4匹のうち3匹は時々泳ごうとしているように思える動きをしています。
また回復している魚のうち早いものはエサを探しているようでした。
白点もかなり減っているようでした。
日曜の朝には背を出してじっとしている1匹を除いて泳いでいました。
まだ片エラですがエラの動きもしっかりとしてきて、もう大丈夫というところまできていました。
白点もほとんど分からないくらいです。
たぶん、マラカイトグリーンとイッシー装置+0.8%塩浴が効いたのだと思いますがその早さに
も驚きました。
本当にありがとうございました。
1匹はまだ背を出して時々泳ごうとはしていますがまだじっとしたままで体にも白い粒が出てい
ます。
明日、半換水して塩分を0.5%に落として薬もエルバージュが濃い目に入っていますので薄
めようと思っています。
その時にその重症魚は改善が見られなかったら塩0.8%+マラカイトグリーン+エルバージュで
1匹隔離しようと思っています。
今回頂いたマラカイトグリーンですが市販はされているのでしょうか?
獣医さんでないと入手できない薬でしょうか?
そうならば有料で分けていただきたいのですがどうでしょうか?
よろしくお願いします。
今回は本当にありがとうございました。
ヘルペスの記事とても興味あります。
楽しみにしています。

さんの追伸)1月26日
イッシーさん、こんばんは。
近況ですが、斜めになって浮いていた死にそうだった一匹も奇跡的に助かり今日からエサを食
べ始めました。
今までなら斜めになって浮いていてエラから白い綿のようなものが出たときは100%落としてい
たので驚きです。
結局ほぼ絶望視していた一池で一匹も落とすことなく回復してしまいました。
イッシー装置+0.8塩浴、マラカイトグリーンのおかげだと思っています。
最初は高いなと思いながら買ったのですがこの一池にかけた金魚代を思えば安かったと思い
ます。
水温18度なら3日間の塩浴は大丈夫だと思いました。

さんの非常に詳細な治験報告にイッシーは深い感銘を受けさんにHPへの掲載の許可を
お願いしたところ快諾して頂きました)

さんからのお返事)1月30日
こんばんは。です。
返事遅くなり申し訳ありません。
HPへの掲載の件ですが拙い説明で恥ずかしいです。
しかし、私もHPを参考にいろいろやってますので他の人の何かの参考になればと思いますの
でイッシーさんの思うように使ってください。
恥ずかしいので住所、氏名は伏せておいてくださいね。
それから多分使うのは9月の中旬からになると思いますが抗ヘルペス剤の試験にも参加させ
て下さい。
よろしくお願いします。

(I様。本当に素晴らしい治験例をありがとうございました。でも装置がマラカイトグリーンで染ま
ってしまいましたね。でもマインタイトはよく洗ってから熱湯をかけるとその効果がよみがえりま
す。)


2007年2月10日
イッシーから新たなイッシー装置の実験検証が届きましたのでご紹介させていただきます。
しかし、30リットルのコンテナでよく水換えなしで3匹も飼えるもんだ・・・恐るべしイッシー装置

室内飼育における青水への挑戦!

皆さんこんにちは!イッシーです。
全く紫外線が直接当たらない飼育環境で果たして屋外飼育同様にらんちゅう飼育が楽しめる
か?そんな夢を持つ方々のために朗報?・・・かな?
以前からの私の課題にしていた事に昨年の12月中旬より試験をしていました。
待合室の三段重ねの実験コンテナ(水量30L)の一番下が今回の試験コンテナです。
明かりも日中の蛍光灯だけなのでイッシー装置を使用してもさすがに青水を作るのは無理だと
思い12月25日にツルーライトを一本付けました。水温はヒーターで最低水温を15℃に設定し
ています。(青水を作るにはやや低めだが、ハードルは高い方がいい。)
待合室の風景と当時の飼育水の画像です。

そもそも30Lの水量で12cmから14cmの魚を三匹も飼えるの?(飼うことは出来ますが成長
させるのには少し水量が足りない!広い試験スペースが欲しいよう!)
見事に自然細菌の増殖が先におこり飼育水は白く濁っていますが、この段階では水換えは必
要ありません。
次の画像は12月30日の物です。

カビが発生してバルキングが生じ水は澄んで沈殿物が
見られます。これは良くありません。底水の除去と足し水をおこないます。
次は1月6日と1月11日の画像です。見た目に水質は大丈夫です。
魚が元気なら魚は餌を探し水底を突付くために水は常に適度に撹拌されて濁っています。

この日から底水だけ抜き足し水をする作業は一回だけでした。
次の画像は2月10日の物です。

これが青水?褐色でないの?とお叱りを受けそうなのですが、有機物がただよった色(褐色)
に隠された青水(ほんまかいな!)なのです。
顕微鏡で見ると緑藻類が相当増えています。(ほんまかいな?)
まあ肉瘤も落ちてないし体色も維持出来ています。
疑う方は是非イッシー装置をお試し下さい。(ちゃっかり営業)


2007年2月20日
らんギャラフォーラムNo5の7月16日掲載魚のその後

今日は前回掲載の室内飼育編の続編です。
病院の待合室の30Lのコンテナ3段重の下段のコンテナの状態は前回紹介しましたが、今回
は上段のコンテナの魚を紹介します。
実はらんギャラフォーラムNo5の7月16日で紹介した魚をその後も継続して飼育していまし
た。
この魚は当時は3歳で上半身のみの掲載でした。胴の太みがたりずに・・・ちょっと貧弱?だっ
た為に恥ずかしくて魚の全身が写った画像を掲載する事が出来ませんでした。
当時の画像がこれです。
2006年5月19日撮影

以後7ヶ月間、相変わらず30Lのコンテナで1匹での飼育を続けていました。
イッシー装置を使用している以外はヒーターもライトも使用していません。
舟を洗ったり水を半分以上換えることもありません。水換えをせずに放っておくと自然蒸発によ
り水量がどんどん減っていきます。するとAHT(アニマルヘルステクニシャン)から苦情が来ま
す。「先生!また水が減ってポンプからの水が跳ねてますよ。何とかしてくださいね!」そんな
お叱りが無ければ本当に放ったらかしなのです。単に水を足すか、たまには底のヘドロを抜く
かは魚の泳ぎと水の匂いでのみ判断しています。
餌は午前中に一回だけ少量のペレットを与えていました。
与える餌の量が少ないので魚は常に舟の底の汚泥をあさっています。そのために舟の底の汚
泥も酸素を利用した浄化の恩恵を受ける事が出来て良い水質が維持できます。底水の汚泥
が酸素を利用できない状態になると硫化水素が発生して汚泥が卵の腐った臭いへと変わりま
す。
多少の硫化水素の発生なら魚は耐えますが、大量に発生すると魚は底の水質を嫌がるように
なり水面付近を泳ぐようになりますし、水も澄んできます。こんな時は積極的に底の汚泥を抜き
ます。でも絶対に水を全て換える事はしません。
このような水は一から立ち上げると出来上がるまでに一ヶ月以上はかかってしまうからです。
あとはPHが下がり過ぎないようにだけ気をつけて出来るだけ濁った水を維持します。
底水を抜いて水を足した後に撮影してみました。画像のようにフラッシュをたいて撮影してもぼ
んやりと魚が写る程度です。

この前の連休で待合室の暖房も付けていなかったので、水温は低下したままでした。
当然ながら微生物による浄化能力も落ちた事と魚が一時的な冬眠状態に入ってしまったので
水が澄み久しぶりに魚の姿を見ることが出来ました。
ちょっとびっくりしたので、この魚を撮影してみました。体長は16センチ位でしょうか。
2007年2月14日撮影

しょせん尾付けに左右があるハネ魚ですが、胴も太くなり肉瘤も落ちる事無く体色もまずまず
です。
屋外飼育には到底及ばないかもしれませんが、室内でもある程度魚は作れるようです。
今後は機会があれば室内のメイン水槽の魚の様子や室内での水の作り方の説明をしたいと
思っています。

イッシー!すごい頭の仕上がりですね。魚っぷりもかなり良くなっています。
イッシー装置の活力水飼育は頭の上がりが良いと評判です。エラ治療の他に飼育にも効果が
あり一石二鳥ですね。
「シオデナオール」じゃなくて「シイクモデキール」って名前はどお?センスね〜・・・!  HONO


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